- 注射の回し打ち、入れ墨、性交渉などで感染します。母子感染も知られていますが、現在の日本では予防対策がとられています。
- B型急性肝炎の主な症状は熱やだるさですが、黄疸(白目や皮膚が黄色くなる)がみられることもあります。
- 肝炎を発症しないままB型肝炎ウイルスを保有し続ける非活動性キャリアという状態もあります。
- B型慢性肝炎に進行した場合、インターフェロンまたは抗ウイルス薬の投与を行います。当院ではいずれも行っています。
B型肝炎は、B型肝炎ウイルスの感染により発症する肝炎です。ただ、ひとくちに肝炎といっても、B型肝炎の場合は、B型急性肝炎とB型慢性肝炎が存在します。また、ウイルスには感染しているものの、肝炎は発症していない非活動性キャリアという状態もあります。
B型肝炎ウイルスは、基本的に血液や体液を介して感染します。違法薬物注射の回し打ち、入れ墨、ピアス、性交渉などを通して、感染者の血液や体液が体内に入り込むことで感染します。B型肝炎ウイルスに感染しているお母さんから産まれる赤ちゃんも感染リスクが高いことが知られていますが、現在は生後にワクチンなどの注射で予防処置を行っており、母子感染はほとんど起きていません。
大人がB型肝炎ウイルスに感染すると、B型急性肝炎を発症します。主な症状は熱、だるさ、食欲不振などで、かぜに似ています。ただ、かぜと異なり、白目や皮膚が黄色くなる「黄疸」という症状が出ることもあります。ほとんどが安静のみで改善しますが、約1%の確率で致死率の高い劇症肝炎へ進展します。
ウイルスの型にもよりますが、急性肝炎が改善した後にB型肝炎ウイルスの感染が持続することはあまりありません。ただ、肝炎を発症しないままウイルスを保有し続ける非活動性キャリアという状態になる方もいます。非活動性キャリアの方の大部分は一生そのまま何も起きませんが、10-15%が慢性肝炎に進行するため、定期的な経過観察を続ける必要があります。
B型慢性肝炎に進行した場合、インターフェロンまたは抗ウイルス薬の投与を行います。インターフェロン注射は、効く確率が20%程度と低めですが、投与は6-12ヶ月と期間が定められており(一生投与することはない)、効いた場合は治療そのものを卒業できます。一方、抗ウイルス薬は、基本的に一生涯にわたって薬を飲み続ける必要があるものの、インターフェロンより副作用が少なく、効く確率は高いという特徴があります。
当院では、いずれの治療も行っており、肝臓専門医として患者さんの希望や生活スタイルにも沿った提案をしています。