B型肝炎の説明
概念
HBVと呼ばれるヘパドナウイルス科に属するDNAウイルスが感染して発症する。C型肝炎同様、血液で感染し、1度キャリア化すれば原則ウイルス排除不可能で治癒しない。
感染様式
経皮(血液)感染と母児間感染が主である。輸血や血液製剤などの血液を介する感染、性交や出産時の胎盤、産道よりの母児間感染により感染する。HBVの感染成立後、1~6ヶ月の潜伏期の後に急性肝炎を発症する。あるいは、軽い肝障害の後キャリアになったりする。本邦のほとんどは母児間感染であるが、医療事故、性交渉による感染も高頻度に見られる。 A型と異なり経口感染はない。家族内発生は出産時によるもので接触感染や母乳による感染は原則成立しない。
B型急性肝炎
HBVの全塩基配列の違いにより、ゲノタイプA~Hまで8つに分類される。Aタイプは1.7%と少ないが、B型急性肝炎の30%を占める。Aタイプは本邦に存在しなかったが、性感染によって2000年から急速に東京から全国に広がりつつあり、10%が慢性化する。Cタイプは85%で本邦で最も多く、急性肝炎の後、慢性化するのは1%以下でほとんど治癒する。Aタイプと対照的である。
臨床症状
成人で感染した場合、一過性の感染でA型肝炎同様、発熱や咽頭痛、倦怠感などの感冒様症状に引き続き、黄疸が出現するが、症状はA型肝炎より比較的軽い。B型に特徴的なものはなく、A型などと同様である。ただ、小児の急性肝炎では全身に皮疹を伴うGianotti病が見られゲノタイプDとの関連が指摘されている。
診断
B型急性肝炎は発症する前の潜伏期中にHBs抗原、HBe抗原、HBV-DNAなどが検出される。又、急性感染(慢性肝炎の急性増悪ではない)の診断の決め手となる。IgM型HBc抗体は高力価陽性となる。ほとんどの症例ではALT低下とともに血中HBe 抗原がヒ抗体陽性となり、HBs抗原が消失する。HBs抗原が6ヶ月以上持続する場合、慢性化したと判定する。
B型慢性肝炎
ほとんどが母児間感染、一部が成人での性交や刺青、医療事故で発症する。一生無症候性キャリアとして生活しながら症状がなく、天寿を全うするのが大部分である。HBV自体には、直接肝細胞障害性はない。HBVに感染した肝細胞に対する免疫応等により惹起され、CD8+細胞障害性T細胞が、感染肝細胞を排除する。これらのprocessが肝炎である。
症状
母児間感染などの小児期よりの感染の場合、無症状のことが多く、慢性肝炎や肝硬変になってから、倦怠感などの非特異的症状で来院することが多い。検診や献血時にHBV感染を指摘されない患者では肝硬変に進展し、腹水や黄疸、食道静脈瘤の破裂時初めて気づく患者も少なからずみられる。小児期に感染するとキャリア化するが、成人では黄疸の認められるような肝炎に進展することが多い。1%が重症化したり、劇症肝炎になることがある。また1%は慢性化する。
検査所見
ALT, AST, の上昇、重症例では黄疸がみとめられ、全身倦怠感、食欲不振などの非特異的な症状が認められる。
A型や伝染性単核症と異なり、異型リンパ球が末梢血中に観察されることは稀である。
診断
水平感染では不特定多数との性交渉やピアス、刺青などが今日の主な感染ルートである。垂直感染は本邦においてはわずかに出生直後のHBs抗体とHBワクチンによる母児間ブロックをHBVがすり抜けて児に感染したときのみキャリア化して感染が成立したときのみである。初感染の場合はIgM型HBc抗体が検出される。キャリアではHBs抗原が陽性であるがIgM型HBc抗体は陰性である。ただし、慢性B型ウイルスキャリアの急性増悪時にIgM HBc抗体が絶対的に高値であることで鑑別可能である。
治療
2010年のB型肝炎治療ガイドラインが確定した。
急性肝炎:発症後は原則入院安静を基本に補液や諸症状を改善を図る対症療法が主となる。重症化例や遷延化例ではラミブジンやエンテカビルを投与することがある。
慢性肝炎:35歳以上ではエンテカビルを原則投与する。ただし、妊娠を希望する場合はインターフェロンを第一選択にする。35歳未満ではインターフェロンが第一選択である。
予防
B型肝炎ワクチンが有効である。多発地域への旅行の前に、自分がHA抗体という感染防御抗体を有しない場合、最低2回、2~4週の間隔を空けて接種する。

