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宜保クリニック

住所
〒399-0036
長野県松本市村井町南1-34-20
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P 駐車場21台 駐輪場 完備
電話番号
0263-57-6060
診察内容
消化器内科
肝臓内科
内科一般
禁煙外来
院長
医学博士 宜保行雄
診療時間、休診日
時間/曜日 日・祝日
8:30
 ~12:30
15:00
 ~18:00
当クリニックは予約制です。

E型肝炎

E型肝炎の説明

概念

E型肝炎ウイルス(hepatitis E Virus:HEV)によって引き起こされる主にインドやアジア、アフリカ、中南米で地域的に大流行がみられた経口感染するA型肝炎類似の感染症である。HEVはエンベロープを持たない直径32~34nmの熱、酸、エーテルに抵抗性のないプラス鎖、single stranded RNAウイルスである。

潜伏期や肝炎発症初期、糞便中に排泄されたHEVによる経口感染である。ただ、血中にも2~3週間HEV-RNAが検出され、輸血後肝炎の原因にもなるとされる。本邦でもすでに輸血後のHEV感染によるE型肝炎の報告も認められる。

A型肝炎が生牡蠣などの摂食による経口感染であるのに対し、E型肝炎は流行地域が雨季の洪水後の水の汚染後の集団発症するのが多い。一方、本邦では、集団発生は少なく、散発例が多い。感染源は不明なことが多いが、鹿や豚の生食や生煮え状態での摂食による劇症肝炎による死亡例が報告されている。

海外での報告がヒト-ヒト感染であるのに対し、本邦ではヒト-動物感染症の様相を呈する。すなわち人畜共通感染症でもある。

潜伏期は約6週間である。ALT上昇、黄疸発現の直前から発症後1-2週間、血中に、4週間、糞便中にそれぞれHEV-RNAが検出される。季節性はない。

症状

A型肝炎同様、最も症状が重く、成人では9割以上の患者で黄疸がみられる。他の症状は、発熱や感冒様症状、消化器症状などの非特異的症状がみとめられる。

診断

先進国ではE型肝炎多発地域への旅行時に感染するとされていた。しかし、本邦では生の鹿肉や猪の生ギモや焼肉、豚肝の摂食などでの発病が多いので、流行地への旅行歴とともに、生肉の食歴の聴取も診断の助けになる。

一般検査では、ビリルビンの上昇がみられるが、A型肝炎と異なりTTT,IgMは高値を示さない。確定診断は急性期に血清学的にIgM-HEV抗体を証明する(保険適応外)。感染の既往を示すIgG-HEV抗体はHAV感染と異なり2年以内に検出感度以下となる。

病理

A型肝炎と同様、小葉全体の円形細胞浸潤、肝細胞壊死、Kupper 細胞増生、細胞の有糸分裂像、多核細胞、腺管形成やセロイド色素の沈着などがみられる。ただ、A型肝炎と異なり胆汁鬱滞型肝炎は少なく胆栓形成やビリルビン沈着はあまり観察されない。

画像所見

超音波検査では、黄疸例では胆嚢の萎縮がみとめられる。脾腫はみとめられない例が多い。劇症化すれば肝の萎縮、腹水や胸水がみとめられる。劇症肝炎への進展が多く、頻回の超音波検査によるその予知が重要である。

治療

A型肝炎と同様、対症療法が中心となる。黄疸例や妊婦は原則入院させる。経口摂取不能例では、経静脈的に水分、栄養分、ミネラル、ビタミンを補給し全身状態を悪化させないようにする。

A型肝炎より高率に発症する(10~20倍)劇症肝炎は死亡率が高く(1~2%死亡する)、更に妊婦では10~20%劇症化する。よって、E型肝炎は常に劇症肝炎への進展を念頭に置き観察し、脳症やプロトロンビン時間の40%以下の低下を認めたら、血漿交換や肝移植可能な専門施設への緊急搬送する。

処方例)
食事が不可能な場合:ソリタT3Gあるいはフィジオゾール3号500ml+ビタノイリンあるいはビタメジン1V。
悪心、嘔吐の症状が強い場合:プリンペラン1A点滴に混注。あるいはナウゼリン座薬(60mg)1日2回投与。

予後

原則100%慢性化することなく治癒する。キャリア化することはない。肝硬変や肝癌への進展はない。劇症肝炎で死の転帰を取らなければ原則後遺症なく退院可能である。

予防

A型肝炎と異なりワクチンやグロブリンのような予防法は確立されていない。

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