- 慢性肝疾患の成れの果てとして、肝臓が硬くなってしまった状態です。
- 浮腫、腹水、吐血、下血、意識障害、黄疸など多彩な症状をきたすだけでなく、肝癌の発症リスクが高まります。
- 治すことができないため、進行を遅らせつつ、症状緩和と肝癌チェックを行っていきます。
肝硬変は、読んで字のごとく、「肝臓が硬く変ってしまった」状態のことです。慢性的に炎症が続くことで肝硬変に至るので、B型慢性肝炎もC型慢性肝炎も脂肪性肝炎もその原因に成り得ます。また、アルコール性肝炎も、禁酒などの対策を講じない限りは、肝硬変へと進行していきます。他にも、自己免疫性肝疾患や遺伝性疾患の中にも、肝硬変をきたす病気があります。肝硬変は、あるひとつの疾患というよりは、多くの慢性肝疾患の成れの果てなのです。
肝硬変で問題になるのが、多彩な症状と肝癌のリスクです。
肝臓が硬くなると、血が固まりにくくなり出血しやすくなる(易出血)、脚などにむくみが現れる(浮腫)、お腹に水がたまる(腹水)、食道や胃の血管がボコボコと腫れる(食道胃静脈瘤)、毒素を分解できなくなり意識がもうろうとする(肝性脳症)、白目や皮膚が黄色くなる(黄疸)など、多くの症状に苦しみます。食道胃静脈瘤は破裂すると吐血や下血をしますが、ただでさえ易出血の状態なので、救命できずにそのまま亡くなってしまうこともあります。また、黄疸は、重くなると黄色が濃くなるだけでなく、全身に強い痒みが生じます。掻きむしってしまうことで全身に傷やかさぶたができて、とても痛ましくなります。
肝硬変になると、肝癌の発症リスクが高まります。C型肝炎から肝硬変になった場合、肝癌の発症リスクは年率5-8%と言われています。
肝硬変は治りません。火を通して硬くなったお肉が元に戻らないように、炎症が続いて硬くなった肝臓は元に戻らないのです。肝硬変になってしまった場合には、その進行を遅らせつつ、各種症状を和らげる治療を行います。そして、肝癌ができていないかをエコー検査などで定期的にチェックしていきます。当院の医師は、肝臓専門医であるだけでなく、超音波指導医/専門医でもあり、これまでも多くの肝癌を発見しています。
ただ、最も重要なのは、肝硬変にならないように早期介入することです。健診異常がきっかけになることも多いので、ご相談下さい。